はこだて散歩日和(パッチワーク日和)

布の記憶

=布の記憶= 堀切辰一著 2003年2月発行
この本は田辺聖子さんのエッセイで知りました。
北九州市立歴史博物館に「堀切コレクション」として自身が集めた
着物や野良着が約2500点収蔵されています。

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下の写真は「はんてん」です。
野良着・女性用・木綿布・昭和初期・鹿児島県

本の中では堀切さんが、使っていた人から聞いたお話が載っています。
背中の薄くなったところは、子供をおぶって出来た跡で
裾の方のキズは、子供がむずがって背中を蹴っでできたのもです。
農繁期になれば 乳児が泣きわめいても 乳をやる暇さえない暮らしでしょう。

おむつもその都度取り換える暇もなく 排泄したのもを多く吸い込むように
複数の布を重ねて刺し子をして作りました。

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これは綿の入っていない布団です。
昭和初期・九州地方で使われていたものです。

布として使い道がない「ボロ」を何枚も重ねて刺しています。
特別に貧困な家ばかりでなく 戦前の農漁村や都市部の労働者の家では
普通だったそうです。

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寄せ縫い半襦袢 外出用 明治時代 近畿地方
「え~~っ外出用???」だんだん本を見るのが辛くなります。
パッチワークをするのに可愛い布に鋏を入れている場合じゃないです。

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継ぎ当てだらけの腰巻
下着・木綿布・女物・昭和初期・福岡県筑後地方

堀切さんの文章から 
「底辺に生きた人々の暮らしを知りたくて集めたのですが 
今の時代の「心の貧しさ」が全く感じられない。
針目が綺麗で 丁寧に洗濯をして保管されいた。」と。

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この様な木綿の布は、今は織る人がいないので貴重品(高価)です。
私より一回りほど先輩の方が お母様のために「袋物」を作ったそうです。
ところがお母様は喜びませんでした。
「あなた達に使ったおむつを思い出すわ」5人の子供を育て
今生きていれば100歳は超えています。
この本を見て 彼女のお母さまの言葉を思い出しました。
(注:彼女の家は貧乏な家ではありません お父様は大手企業勤務でした
この時代の人は物を大切に、最後まで使ったのでしょう)

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それからはスープのことばかり考えて暮らした

=それからはスープのことばかり考えて暮らした=
吉田篤弘著 2006年初版発行
長い題名なので「エッセイ」か?と思って借りたら 小説でした。
             (この子の名前はサニーちゃんです!)
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大里くん、只今失業中です。
学生時代によく通った映画館「月舟シネマ」の近くに引っ越したいと
思っていましたが・・・彼の強いこだわりがあって
「路面電車でガタゴト揺られながら」 映画館に行きたいのです。
このアパートの窓から隣の教会の十字架が見えるのも
住む決め手になりました。
大家さんに「大里(オーリ)です」と挨拶したら「あら、オーリィ君ね」となって
以下オーリィ君と呼ばれています。
(文中に挿絵が載っています。窓の外に教会の十字架が見えますか?)

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この街に越してきた頃、道行く人が「茶色の袋に白いインクで3」と書いた
紙袋を抱えながら歩いている姿を見て不思議に思います。

それは「サンドイッチ屋」さんの袋でした。
そこは作り置きをしないお店で、お客の注文を聞いてから
パンを切りハムやキュウリもそこでカットされて その手際の良さが
「映画のシーンを見ているように」感じました。

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月舟シネマに今回かかっている映画は
「豆腐と喇叭(ラッパ)」昭和26年の作品です。
この映画、この5年間で25回も観て 今日は26回目です。
ちょっとしか出ていない女優の「松原あおい」さんに一目惚れ。

先客はただ一人 濃い緑色のベレー帽を被った お婆さんでした。
前にもどこかの映画館で見かけました。
オーリィ君がポップコーンを食べ始めたら そのお婆さんも
「いい匂いのスープ」を飲んでいます。

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サンドイッチ屋さんに何度も通っているうちに 
このお店で働くことになりますが・・・・。
サンドイッチのサイドメニューにスープを出すことになり
オーリィ君がレシピ本の通り ひたすら試作を重ねます。
この本のタイトルですね!!!

物語の登場人物はサンドイッチ屋さんの息子リツ君(小学校4年生)
その友達 転校生の森田君(この子がベレー帽のお婆さんの孫)で
心優しい人達の物語が満載です。
最後に「名なしのスープのつくり方」が載っていますが
25ものポイントが・・・どれもスープと関係ない気がしますが・・・。
 
               (サンドイッチ屋さんのドアです)
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日日是好日

=日日是好日= 森下典子著 2002年一月第一刷発行
副題には「お茶が教えてくれた15のしあわせ」と書いています。
            (お人形の名前はクレアちゃん はこやんさん命名)
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~本のカバーの裏に~
個性を重んじる学校教育の中に、人を競争に追い立てる制約と不自由があり
厳格な約束事に縛られた窮屈な茶道の中に、個人のあるがままを
受け入れる大きな自由がある・・・。
学校もお茶も、目指しているのは人の成長だ。
けれど学校は「他人」と比べ お茶は「きのうまでの自分」と比べることだ。

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2018年ロードショーの映画「日日是好日」は
(主演)黒木華 (従妹役)多部未華子 (お茶の先生役)樹木希林さん
観る前から期待が高まっています。

(これは瀧の掛け軸です。筆の最後をハネず、そのまま余白を一気に
どぉーっと書き抜いて 水しぶきのように書いています。)
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大学生の時から 従妹とお茶を習っている森下典子さんが
25年の間に お茶を通して体験したことをエッセイにしています。

この中で私が感動した言葉を・・・・「雨を聴く」から。
お茶を始めて15年目のこと。その日は朝から体がだるかった。
雨の日の外出はただでさえ億劫なのに 昼過ぎから雨足が激しくなった。

お稽古場に遅れてはいると 魚住さんが薄茶を立てていて
お茶をいただいた後「ザァーーーーー」とまた雨足が激しくなります。
その時に見た掛け軸に「雨聴」と書いていました。
 
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「雨の日は、雨を聴きなさい。心も体も、ここにいなさい。あなたの五感を使って
今を一心に味わいなさい。」
私たちはいつでも、過去を悔んだり、まだ来ていない未来を思い悩んでいる。
所詮、過ぎ去った日々へ駆け戻ることも、未来に先まわりして準備することも
決してできないのだ。

雨が降ると「今日は、お天気が悪いわ」と思うけど「悪い天気」なんて存在しない。

雨の日をこんな風に楽しめるのなら「日日是好日」ですね。

(薄茶。泡がきれて、池の水面に三日月が見えるように・・・。)
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映画の撮影は2017年11月から12月 今、真っ最中です。

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ベロ出しチョンマ

孫の通っている小学校で「学習発表会(学芸会)」がありました。
舞台のひな壇の上に 六年生全員が並んでいて
オープニングはリコーダーによる「カノン」でした。
(110名ほどの生徒の合奏は聴き応えがありました)

次は「ベロ出しチョンマ」を、段落ごとに6~7人の生徒が立って
読んでいきました(ステージ壁にはここで紹介する切り絵を映しています)。
=ベロ出しチョンマ=  (作)斎藤隆介 (絵)滝平次郎

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長松(チョンマ)は12歳 妹のウメはまだ3歳です。
ウメの霜焼けがひどくて、キレを取り換えるときにその痛みでウメは泣きます。
アンちゃんの長松のほうが泣きたい位でした。
その内 湯の中で巻いたキレを剥がすときに、
眉毛を八の字に下げて、ベロっとベロを出す顔をすると
一瞬でもウメが笑うのでした。

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ある夜大人たちが年貢の相談をしています。
去年も今年も洪水や地震や日照りがあって、米も麦もロクロク取れないのに
殿様は前よりもっと出せと言って来ています。
「それより誰かが江戸へ直訴すれば・・」

あくる朝起きてみたら 父ちゃんがいませんでした。
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父ちゃんは途中で役人に捕まってしまい、母ちゃん・ウメ・長松までが
村人の前で 見せしめのために「はりつけ」にされます。

3歳のウメは「母ちゃーーーん母ちゃーーーん」と激しく泣きましたが
「ウメーッ、おっかなくねえぞォ、見ろォアンちゃんのツラァーーッ!」
長松の八の字の眉 ベロを出した顔に、村人は泣きながら笑った 笑いながら泣いた。

長松親子が殺された刑場の後には、小さな社が建ちました。
役人が何度壊しても いつかまた建っていました。
(千葉県成田市にモデルになった方がいたそうです)

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最後は合唱「花は咲く」をアンコールも含めて2回。
児童会 会長の「男子」の挨拶では
「社会科で江戸時代を習ったばかりで 厳しい身分制度があったことを知り
この物語を選びました。」とても表情がキリっとした将来が楽しみな男子でした。

私の隣に座った (よその)おじいさんが、「良かったねぇ~ さすが六年生だ
孫の成長は早いなぁ~~もうすぐ中学だな・・・。」
気が早いおじいさんと思いましたが、後5か月もしたら中学生です!!
これだもの年を取るべさ・・私も・・。
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すべての神様の十月

今年から女子高生になった上の孫が、文芸部の「北海道大会」で
岩見沢市に行きました(札幌の北にあります)。
(注:文化部が少なくて先生の人柄で入部したみたい・・・です。
本が好きで入りましたが それと文章を書くのは違うみたいですが・・・)

そこで旭川出身の作家が講演したそうで・・・(三浦綾子は亡くなったし・・)
「おじさんで ナントカユキヤって名前 玉置浩二がドラマに出ていたみたい」
ってそれは 小路幸也ではないか・・・。
しかも「東京バンドワゴン」と云うドラマだし!!
読んだ後ほっこりした気持ちにさせる作風で
おばあちゃんの好きな作家さんだよ~~。
「ほかの学校の生徒が うちのお母さんがファンです」って言ってたわ。

「すべての神様の十月」小路幸也著(2017年9月第一版発行)
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ここに登場する神様は「イケメンの死神」など7つの神様です。
全部の話を紹介したいくらい面白かったのですが・・・あえて一つだけ。

(今日のおやつ紹介は 柳月(帯広市)の、どらクリム一世です。
お菓子に物語がおまけでついた美味しいどら焼きです)
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坂崎真美は仕事ができて人望があるOLです。
どういう訳か(?)付き合った彼氏が 真美の友達と結婚すること3回。
相手の仕事のミスで起きた処理を完璧にこなしますが
上司の三宅部長に呼び出され「向こう半年 減俸二割減」と言われます。

ところが同僚のコネ入社した加奈子ちゃんに
この三宅部長が 真美の手柄を自分の手柄にして ミスを押し付け
社内で出世していると、知らされます。

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人生って何だろう。恋愛だけじゃなく 部長は私の力で幸せになる
私一人が貧乏くじを引いている・・・・と悲観して、
8階のマンションから飛び降りて・・しまいます。

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マンションの下で待っていたのは イケメンの「死神」でした。
「これで7回目の自殺ですよ。あなたは人に幸せを与える福の神なんですよ」
「私たちは、すべて共に生きる存在です。人も神も関係なく、
すべてこの世に存在するものなんですよ」

最後に凄いオチを考える小路幸也最高です!!
(この本の中、私の一押しは「ひとりの九十九神」です)
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=お菓子のお伽噺=
十勝ミルク王国のお城に泥棒に入った「ラム」は
財宝が入っていると思って盗んだ壺から
お菓子のレシピが書いた紙を見つけます。その通り作ってみたら
とっても美味しい「ラムレーズン・バターパンケーキ」でした。
盗んだお詫びに王様に献上したところ 
百年前に行方不明になったレシピでした。
王様は喜んで「どらクリム一世」という称号を与えました。

これを食べた、つぐみおばあちゃんも喜んだとさ!!

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(ショコラ生地に 柔らかなお餅・ラムレーズンバタークリームがサンドしています)

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