はこだて散歩日和(パッチワーク日和)

てのひらのほくろ村

=てのひらのほくろ村= スズキコージ著 2004年4月第一刷発行
この本は 
「絵本があってよかったな」の内田麟太郎さんの本の中で紹介していました。
内田さんが、編集者からエッセイを書きませんか?と話を持ち込まれますが
その人が{こんなものを}と送ってくれたのが「てのひらのほくろ村」でした。
少年コージさんの貧しくとも温かい少年時代の自伝です。
おまけに抱腹絶倒の自伝でした。
(1987年理論社から出ていたのが絶版になり、 2004年架空社から再出版)
CIMG2633.jpg

スズキコージさんは1948年2月生まれです。
夫と同じ昭和23年生まれ 戦後のベビーブームで 一クラス60人は普通です。
コージさんの小学校の頃の話が書かれていますが 読んでいてとっても面白くて
子供のころの観察力と絵を描く事が本当に好きで 両親も暖かく
先生も優しくて スズキコージさんを見守ってくれたのでしょう。 

最後のページには小学校1年生冬休み 二年生夏休み 二年生冬休みの
絵日記も掲載しています。 私がとても関心したのが その文章に
「丁寧」に先生がコメントを書いているのです。

CIMG2647.jpg

このスイカの絵は小学校2年生夏休みのものです。
「きょうのひる 静岡のお兄さんがきました。五じごろになると
 おかあさんがすいかを きってくれました。
みんなでおいしいすいかをたべました。」
先生「とてもおいしそうな すいかですね。静岡のお兄さんもきて 
にぎやかになったでしょうね」

画面いっぱいにスイカが書かれています。
CIMG2648.jpg


他のページでは 汽車で出かけた絵があって
先生「きしゃのえが とてもうまくかけていて 先生もかんしんしました。
ほかの先生にみせると二年生では うますぎるぐらいだと ほめてくれましたよ」
子供は褒められて育って行きますね。

本の題名ですが。
「ある日、しんがいのしょうちゃらと表で、おとし穴を掘って遊んでいたら、
薬うりの白いヒゲで白装束のおじいさんがやってきて、そこで遊んでいる
子供らの手相を見た。そして、おじいさんは、僕の手を引っぱって、
僕の家へ連れて行った。おっかさんが、また、コージがイタズラをして、怒られて
薬でも買わされるのかなと思ったら、そのおじいさんが言うには
「この子供の右のてのひらの中央に、何万人に一人の黒々としたほくろがあるので
この子は大事に育てなさい」と言い残して、スタスタ去っていった。」
(この本の文章が 稚拙(本人の弁)な書き方で 笑いも沢山ありました。)

現在では そのほくろも 薄くなってほとんど消えてしまった。
生まれ育った村を、そのほくろになぞらえて「てのひらのほくろ村」と名づけました。

CIMG2649.jpg
私から・・・「コージ少年は 良い先生に恵まれましたね。
夫の学校は戦争帰りの元特攻隊の先生がいて
すぐ殴ったりする 怖い先生がいたそうですよ。」

PageTop

かあさんのこころ

=かあさんのこころ= 内田麟太郎(文) 味戸ケイコ(絵) 
2005年6月第一刷発行
(前回から 麟太郎さんの本の話題が続きます。)
CIMG2650.jpg


=本の扉から=
「どの子も無条件に愛されてほしい・・・・・。それがいま、私の一番の願いです。
悲しい時を過ごさなければならなかった子は、自分を愛せない子になります。
それをと取りもどせるのは、ただ優しい人との出会いだけです。
これはちいさな自伝でもあります。  内田麟太郎」

こどもの ころ。 ぼくは ぼくの かなしみしか しらなかった。
いつも かなしみの そこで うずくまっていた。

ぼくは つりを つづけた。 うちへ かえりたくなくて。(中略)

ゆきが ぼくの かたを しろくする。
CIMG2651.jpg

その ほしを さがした。その ほしは  みつからなかった。かあさんのほし。
ぼくも ほしに なりたかった。かあさんの となりで。
CIMG2652.jpg

ぼくは おじいさんに なっていた。 むすめが こどもを だく。
こどもが むすめに ほおずりをする。・・・・・ママ。・・・・・ママ。

CIMG2653.jpg

ぼくは なみだが あふれてきた。 
わかくして なくなった かあさんに わびていた。
ぼくの かなしみより ずっと ずっと ふかかった 
かあさんの かなしみが みえてきた。

おさない ぼくを のこし、しんでいった かあさんの かなしみ。
CIMG2654.jpg
かあさんの きもちが いまは わかる。
「しあわせに なってね」
「かあさんよりも ながいきしてね」
かあさんの こころは のはら。 はるの のはら。

血の繋がっている親子でさえ それぞれの家庭の事情があります。
父が家の中で 大声で怒鳴ったり 物をぶつけたり 幸せな子供時代だと
思っていませんでした(90歳で亡くなるまで 短気は直りませんでした)。
でも麟太郎さんと同じく 孫が 愛情たっぷりとすくすくと育つ姿を見て
その姿に自分を重ね合わせて=自分を育て直せた=と思っています。
子供は穏やかな家庭の中で 愛情いっぱいに育つ権利があります。

PageTop

絵本があってよかったな

=絵本があってよかったな= 内田麟太郎著 2006年7月第一版発行

CIMG2637.jpg

内田麟太郎さんは絵本の文章を書く方ですが 
絵詞(えことば)作家と、ご自分では言っています。
荒井良二さんや長新太さん 長野ヒデ子さんの絵に文章を書いていますので
一度は手に取ったことがあると思います。
1941年福岡県生まれ 6歳で実母を亡くします。
父は翌年2人の男の子を連れた継母と結婚します。
新しい妻への「愛のカタチ」か? 麟太郎少年の母の写真を処分します。

新しい母は 麟太郎少年とその弟を「ことごとく冷たく扱いました」
小5で万引きや家出 
もう少し大きくなってからは睡眠薬中毒で暴力を振るうようになり
自殺に失敗した時に 父は母に言ったそうです。
「イエス・キリストのように愛せないのか」と
継母は「わたしには、できまっせん」と言ったそうです。

その後上京 
長新太さんとの絵本「さかさまライオン」が第9回絵本にっぽん大賞を受賞。
その時大牟田にいる継母に電話で伝えたら
「お父さんが生きていたら」と泣いてくれて 
.「この母との喧嘩は終わった」と感じます。

55歳ころに福岡への講演のついでに家へ寄った麟太郎さんに
「麟ちゃん、愛さなくてごめんね」と謝ったそうです。

こんな子供時代の事を思いながら書いた絵本
=おかあさんになるってどんなこと=を借りて読みました。
お友達と遊ぶウサギの子供の話です。
ミミちゃんが赤ちゃんのぬいぐるみを持って 
今日はこの子のお母さんになるのと言います。
ターくんは聞きます「おかあさんになるってどんなこと?」
たとえば 「子供の名前を呼ぶことよ」「手をつないで歩くことよ」
「ギュッと抱きしめることよ」
(麟太郎さんの子供時代を考えると 
どんなにか寂しい思いをして育ったのか胸が痛みます)
CIMG2638.jpg

絵詞(えことば)作家についての文章です。
「絵本には絵本の文章がある。絵本の文章は文学であってはなりません」

CIMG2639.jpg

子供のために文章を書く私が、
継母への復讐心の感情を持っていた事をエッセイで公開したら 
西村繁男さんから「絵本があってよかったな」との言葉をもらい
本の題名に使いました。
次回は麟太郎さんの自伝的な絵本を紹介します。
CIMG2640.jpg
(マリアちゃんの着ている服は お嫁さんのお友達が作ってくれました。
プロ級の腕前ですね。)

PageTop

あたらしい北海道旅行

=あたらしい北海道旅行= セソコマサユキ著 2017年4月第一刷発行
とても衝撃的な旅行案内の本です。
どこかに行こうと思った時には 旅行雑誌「るるぶ」などで調べますね。
この本はカフェ・パン屋・工房・宿など 北海道の広大で豊かな自然で
暮らす人々33組を取材した本です。

この本を持ってここに載っているお店を訪ねて会いに行きたいと思いました。
場所は函館・札幌・旭川・美瑛・富良野です。
CIMG2641.jpg

函館編では7件のお店 レストラン・天然酵母パン・チーズ工場が紹介されています。
この本の中で 一つだけ紹介します。
私が良く行く「はこだて工芸舎」です。
CIMG2642.jpg

こちらの店は道南の作家さんの商品を置いてます。
観光客よりも地元のお客様が中心なので、いつも違うものを楽しんでもらうように
月3回は企画展をしています。
CIMG2643.jpg


函館市電 十字街電停の真ん前にある 築80年を超える建物に
「はこだて工芸舎」はあります。店主の奥様の堂前邦子さんはいつ行っても
笑顔でお客を迎えてくれて とってもお人柄の良い方です。
作家さんの作った物に愛情をもって「説明」してくれるし 
また、品質の良いものを置いています。

「家族で買い物に来てくれて みんなで相談しながら買った器は
それを使っているときにも、無意識に大切にしてくれるはずだし
そんな暮らしが豊かにしてくれると思うのよね」
お店で心地よく応対してくれるのは そんなポリシーがあったからなのですね。
CIMG2644.jpg

=感謝のご挨拶=
当ブログも三年目に入ります。これまで訪問してくれた方、拍手を頂いた方、
温かいコメントを頂いた方に 感謝申し上げます。
「遠くに住んでいて、なかなか会えないお友達に向けて」の気持ちで書いています。
これからも宜しくお願い致します。

PageTop

彼女の家計簿

面白くて一気に読みました。
=彼女の家計簿=  原田ひ香著 2014年1月初版発行

CIMG2605.jpg

里里は未婚のまま娘「啓(けい)」を生み育てています。
母からは「父親のない子供を産むなんて 苦労するだけ。
もし生んでも援助は絶対にしないし
実家に帰ってこようなんて甘い考えならやめなさい」と、
元々親子関係が冷たいのでした。

ある日NPO法人「夕顔ネット」の代表三浦晴美からの[家計簿]が母経由で届きます。
その家計簿は戦前から戦後にかけてつけられていた 祖母加寿のものでした。
里里は「若い頃の祖母が 里里の母(朋子)を残して 男と駆け落ちして心中した」と
親戚から聞かされていました。

里里と晴美の日常の中に 家計簿の中の文章が挿入されて 
現在と過去が同時進行で綴られて行きます。

「夕顔ネット」は水商売や風俗関係の仕事をしてきて 高齢になり
働けなくなった女性の支援をしている団体です。
谷中で食堂をしていた加寿が亡くなる前に 
土地と建物を「夕顔ネット」に寄付しました。
 
建物が老朽化したため 家を整理したら「家計簿」が出て来たのです。

祖母加寿は乳飲み子を抱えて 教員をしていましたが 復員してきた夫は働かず 
姑も孫の面倒を見ません。そんな境遇に同情した木藤先生から
「駆け落ち」を誘われますが・・・。

その加寿が谷中で生きていて 人助けをしていた・・・・。
加寿と 里里 そして晴美の人生模様が うまく絡んでいて
「小説」らしい仕上がりになっています。

新函館北斗駅前の花壇です。
CIMG2578.jpg

PageTop